伊東屋横浜元町店でインクを購入しました。
藍濃道具屋(レンノンツールバー)の「文旦(ぶんたん)」という名前のインクです。
藍濃道具屋は台湾のインクメーカーで、定番色とは別に季節ごとに3色のインクを限定色としてリリースしています。
今回購入した文旦は2019年秋季限定のインク。
文旦がインクの色となった由来がとても面白かったので思わず購入しました。
台湾の秋に欠かせない果物、文旦
2019年秋限定色の「文旦」は、日本ではザボンという名前の方が有名かもしれません。
ザボンの皮の砂糖漬けなどがよく知られた食べ方です。
同じく2019年秋季の限定色として登場した秋刀魚は、なんとなく秋のイメージがあります。
一方でなぜ文旦が秋の限定色なのかな〜と疑問に思っていたところ、伊東屋の万年筆売り場の店員さんが「実は文旦にはおもしろいエピソードがありまして…」とニコニコしながらその理由を教えてくれました。
店「台湾の人たちって、秋になると焼肉をたくさん食べるらしいんです。」
私「焼肉ですか?(なぜ急に焼肉の話??)
店「しかも1週間くらいぶっ続けで。」
私「そ、それは食べ過ぎでは(笑)」
店「そうですよね(笑)。それで、焼肉の後に毎回必ずと言っていいほど食べるのが文旦で、お口の中がさっぱりするので食後には欠かせないそうなんです。そんなことから、台湾の方々は文旦を見ると『焼肉食べた〜い』という気持ちになるそうです。そこで秋の訪れを感じるとか…^^」
文旦が季語というのは、なんとなく秋が旬なのかなと考えていたのに、いきなり出てきた単語は「焼肉」!
しかも1週間焼肉食べ続けるって、どんだけ台湾の人たち食いっぷりがいいんだ(笑)と、声を出して笑ってしまいました。
焼肉とのコンビという突拍子もない組み合わせに度肝を抜かれながらも、『台湾の人々にとって文旦の存在が秋の訪れを感じる一つの要因になっている』というバックストーリーがなんとなく気に入り、購入に至りました。
文旦インクはこんな色
インクを購入してからさっそくガラスペンで書いてみました。
文旦(ザボン)というと、黄色い皮のイメージが強かったのですが、インクは黄色が強めの緑色です。
書いてみると、ちょっぴり苦味を感じるような緑色。
柑橘系特有の酸っぱさや苦味が、色によく表れています。
書いてすぐは鮮やかな黄緑で、乾いていくにつれて段々と色に深みを帯びていきます。
秋冬の落ち着いた雰囲気によく合います。
綺麗に線が描けて、ノートや手帳に文字を書くのにも合いそうです。
深まる秋の訪れを感じるのに、文旦のインクはぴったりの一色でした。
万年筆のインクを多く取り扱う店舗でしかまだ見かけたことはありませんが、気になる方は是非探してみてください。
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